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T I/E AR ~ティアー~ Diary

T I/E AR ~ティアー~ Diary

くるす専門外国語

確認してないんで、合ってるかちゃんと読んでね。


疼痛のしくみと治療の関係

疼痛は人やその他の動物に日々起こるものであり、損傷から身を守るのを助けるが、あるケースでは苦痛やストレスを引き起こす継続的で耐えがたい感覚的経験でもある。
古くから疼痛は病理学的変化または病気の変化の兆候として、主として診断の道具として評価されているが、現在では重いストレスを引き起こすと同時に、動物の行動や体質や生理に対して、他の病気と関連して、または個別に重大な影響を与えるとされている。

多くの動物は疼痛に対して適切な治療を受けていない。
獣医師は最適な治療を与えていないことが多い。なぜなら1.最新の治療戦略をよく知らないため、2.薬による副作用のため(例えば食欲減退、沈うつ)、3.毒性(胃潰瘍、肝または腎不全)が発生するかもしれない、という警戒心のため、4.連邦政府が決めた規制に従わなければならないためである。
さらに疼痛は一時的であり、二次的に重大な病気と考えられるかもしれず、またはもし治療すれば経済的な負担を負うことになるかもしれない。(例えば豚の去勢)
包括的な診療のデータは自然に発生する病気の動物における疼痛の重篤度や発生率や広がりはまとめてられておらず、そのことは疼痛の標的となるグループや治療の処方あるいは評価を分かりにくくさせたり、健康と疾病予防のプログラムの最適化のためのガイドラインを与える。
法的に認められた診断の技術の欠乏や、痛みの評価や獣医師が薬を使用したときの薬物の有効性に用いられる疼痛のスコアリングがないため、問題が大きくなっている。
獣医の患畜への不十分な鎮痛は生理学的、行動学的、倫理的に重大な結果をもたらしている。
動物種に特異的な傷みのスコア系の確立と使用は患畜における痛みの評価を容易にするだろう。そして、ラットにおいては疼痛の管理と日常の評価が初めて認可されている。
このアプローチにはある限られた場所での動物の位置や姿勢や特定の活動の持続時間や頻度を分析する客観的な行動の分析ソフトを使う。
この分析により選ばれた種に特異的な行動とあわせると、疼痛の重篤度の指標になる上に、うまくいけば改良されてペットに応用されると期待されている。
疼痛の重篤度の評価システムの発達や疼痛の原因であるメカニズムを知ることは、臨床的観察による研究の比較を容易にし、さらに代替的な診断技術を提案して様々な臨床的鎮痛治療の包括的評価をより可能にするだろう。
知識を増やしたりや動物に対する態度を変えたりや動物福祉を重視することが増え、個人的な獣医の場での疼痛の治療が要求されるようになっている。この疼痛の創設の目的は専門用語を定義するためだったり、鍵となる概念を説明するため、あるいは疼痛の原因である重要なメカニズムに焦点を合わせるためであり、それにより現在と将来の治療に対する正しい見方を与える。


1. Types of Pain 疼痛の種類

疼痛は組織障害の刺激に共通して関連する知覚体験である。(Fig 1)
疼痛はストレスを引き起こすし、もし重篤となれば(すなわち苦痛)動物の生存を脅かすかもしれない。急性の疼痛は治癒や組織の回復をできるようにすることによって、保護の役割をしている。しかし激しく持続する慢性の疼痛には保護の価値がほとんどまたは全くない。慢性の疼痛は神経システムにおいて生化学や表現型の変化を引き起こし、それは拡大し知覚入力をかえる。結果として生理学的、代謝的、免疫学的変化を起こす。そしてそれは恒常性を脅かし病気になったり死をまねく。疼痛の研究のための国際連合は、疼痛を“現実または強い組織の障害と関連する、あるいはそれにもとづいた障害と説明される不快な感覚、または感情的な体験”として定義されている。最近では“固体が伝えることが出来ないからといって、疼痛を体験していて適切な疼痛軽減の治療を必要としているというのを全く否定してはいけない。この定義は現実のまたは強い組織障害の感覚の体験と関連する。そして患者は話さないし、あるいは反応できないという点を無効にされているということをほのめかすが、患者が疼痛を感じていなくて治療を必要としていないということにはならない。侵害刺激によって引き起こされる反応に似た恒常性の反応を引き金とする不快な感情的体験(例えば恐怖)の重要性もまた認識している。疼痛を起こすような有害な刺激は侵害刺激の強さに比例する逃避反射、行動、自律神経システム、神経内分泌、免疫システムを引き起こす。侵害受容器は有害な刺激の発見であり脳への情報の伝達である。疼痛は侵害刺激によって引き起こされる感覚的体験の知覚である。

疼痛の導入には一次性の感覚および中枢神経の活性化、調節、修飾が含まれる。有害な疼痛は、または生理学的疼痛とも呼ばれるが、最小または全く組織障害を引き起こさないような刺激が閾値の高い感覚神経線維を刺激する時に起こる。その結果、動物が強力な組織障害の状態にあることを警告してくれる。生理学的疼痛は局在がはっきりしていて、一時的であり、生体の通常の防御機構に重要な役割をはたしている。それは保護的反射、生理的反射、回避反応を引き起こすことによる。(Fig 2)
(Fig 2)
対照的に臨床的疼痛は過度に強いあるいは持続的刺激が組織障害を引き起こすときに起こり、結果的に不快感や異常な感受性(敏感)を大きくする。
臨床的疼痛は自発的に発生するかもしれない。そして以下のもので特徴づけられる。低い閾値で反応する有害刺激(過敏反応)、有害刺激に対する過剰な反応(痛覚過敏)、siteでの疼痛(一次性の痛覚過敏)、一次性の組織の周囲での疼痛あるいは損傷を受けていない組織の周囲へ入る神経の損傷(二次性痛覚過敏、異所性痛覚過敏)
臨床的疼痛は組織障害に伴う炎症(炎症性疼痛)、中枢または末梢神経の損傷(神経因性疼痛)により起こる。あるいは通常では無害な刺激(アロデニア)によって引き起こされるかもしれない。外科手術(去勢、爪きり)、傷害(裂傷、骨折)、虚血(血栓塞栓症、腸管閉塞)、関節炎、蹄葉炎、伝染病、膿瘍、は炎症性疼痛の原因である。一方で、神経の切断や圧迫は神経因性疼痛の原因である。頭部の障害、椎骨板ヘルニア、いくつかの手術手技(切断、耳官切除)、癌、限局した炎症(膵炎、蹄葉炎)、は炎症性疼痛と神経因性疼痛の両方要素を含んでいるようである。末梢感作“感作物質に対して神経終末を露出することにより、痛覚に対する閾値を下げる”は組織傷害または傷害による炎症により起こる。そして、一次性感覚の求心性神経と交感神経システムとの相互作用により増幅される。中枢性感作“脊髄において興奮性神経の活動が増える。そして通常は無効の痛覚刺激が有効となる”激しく、持続した有害刺激は遺伝子発現のパターンの変化をもたらし、各々の神経の表現型を変化させ、神経システムに
重要なことは、痛覚過敏とアロデニアは遺伝子発現を変化させる機能と脊髄策の神経と」その周囲における興奮性の増加・・・   」9/22

Neurobiology of sensory Nerves
神経システムの最も重要な機能の一つは、動物の潜在的な組織障害を警告することである。
知覚神経はこのルールを守っている。
知覚神経は二つの異なったクラスの細胞、グリア細胞と神経細胞で構成されている。
グリア細胞は神経細胞に栄養を与え、支持している。
ニューロンは知覚の情報を感じ、管理する。
抹消の知覚神経の細胞体は体に始まる神経につながる脊髄神経の後根の神経節か、もしくは、頭からの感覚情報を伝達する神経につながる三叉神経の神経節に位置する。(三叉神経、顔面神経、舌咽神経、迷走神経)。


感覚神経の分類
感覚神経線維はその機能や解剖学(髄鞘形成)や電気的信号を伝道する速さに基づいて3つのグループに分類される。
大型のミエリンを有するAβ感覚神経線維グループは低く激しい刺激(それらは低い閾値をもつ)によって活性化され、通常は非侵害性情報(接触、振動、圧力、四肢の運動)をすばやく(伝道速度は30~70m/s)伝える。
これらのニューロンは樹状突起の終末部にある特殊化した被覆化されたレセプターからの入力を受け取る。
より小型で髄鞘の薄いAβと無髄のC感覚線維はそのほとんどが閾値が高く侵害刺激を〔Aβ線維に比べて〕より低いスピードで伝える(Aβ:2.5~30m/s、C<2.5m/s)。

伝達と伝導
痛みは、AγとC線維の侵害受容器の遠位末端にある高閾値トランスジューサーの活性化により起こる。
たいていの侵害受容器は複数のモードで制御され、多くのタイプの侵害刺激(温熱、機械的化学的電気的)に対し応答する。
とはいってもいくつかの侵害受容器は単一モードで動き、それらは温熱あるいは機械的刺激にしか応答しない。
侵害受容器は侵害刺激の強度、持続時間、位置、そして有害性の刺激の質をコード化し、一旦活性化されるとその刺激を脱分極性の電位(活動電位)に変換し、それを脊髄に伝え脊髄では脳の最終距離(知覚)に伝える(すなわち、投射する)前に修飾を行う。

C線維のタイプ
C線維は2つのグループに分けられる、それはペプチドの含量と脊髄での終末部位によって。
あるC線維ではアデノシン、あるいはATP感受性の受容体(P2X3)とグリア細胞由来の神経因子受容体を発現しレプチンのIB-4分子に結合する。
一方、もう一つのグループはサブスタンスPとカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)および神経線維成長因子(NGF)受容体チロシンキナーゼAを合成する。
損傷を受けた神経から放出されるATPによるP2X3の活性化は痛覚過敏を引き起こす。
C線維の二つのグループはVR1を発現している。
VR1受容体はプロトンに反応するリガンド開閉性の非選択的陽イオンチャネルである。
VR1は侵害性の熱刺激を伝えプリン受容体(たとえばP2X3)は化学刺激を伝え、上皮のナトリウムチャネル(mDEG)特に脳のナトリウムチャネル(BNaC)は現在では酸感受性のイオンチャネルとして知られているが機械的刺激を伝える。
広閾値の侵害受容器は前活性化(自己感作)およびほかの物質による感作刺激によって広閾値性の状態から低閾値へ変化するかもしれない。

ナトリウムイオンチャネル
感覚神経はまた陽イオンチャネルを発現しそれは侵害・非侵害刺激をコード化するのに特に重要である。
二種のナトリウムチャネルが見つかっており、テトロドロキシン感受性・非感受性のものである。
径の大きなAβ線維はテトロドキシン感受性チャネルだけを発現している。
径の小さなAγとC線維はテトロドキシン感受性・非感受性チャネル両方を発現している。
非感受性のチャネルの中には少なくとも二つのタイプの感覚神経特異性のナトリウムチャネル、すなわちSNS/PN3,SNS2/NaNが侵害受容器の興奮性と異所性の入力に寄与している。
神経細胞膜はまた、多様な電位依存性カルシウムチャネルを発現している、それらはカンナビノイド受容体作動薬あるいは抗痙攣薬のGABAペンティンによって減弱される、そのことによって熱性の痛覚過敏や冷性のアロデニアを抑えるのに役立っている。

脊髄の解剖学
脊髄は体性感覚情報を脳に伝えるための最初のリレーポイントである。
すべての求心性の感覚神経線維は脊髄神経の後根から入り、それから分離して脊髄後角の灰白質の異なる領域や層にある二次ニューロンと連絡を取る(=神経支配する)。
後角板は機能的に異なる細胞の層からなり、脊髄の長さを伸展させる柱状構造を形成する。
柱状構造は多くの二次性の興奮性あるいは抑制性介在ニューロンを含み、それらは周囲を取り囲む他のカラムからの入力を受け取り、脳および腹角に出力を送る。
腹角は介在ニューロンと体幹と四肢の筋肉を制御する運動ニューロンを含んでいる。
後角と前角の間の転移ゾーン(胸髄と仙髄)には自律性の前神経線維がありこれは不随意機能(内臓機能)を仲介しいくつかの感覚性の求心性情報を多くの平行した回路を通じて脳に伝えている。
大型のAβ線維は主として3,4,5層にあるニューロンに終枝する。
それは感覚情報を脳に投射し感覚入力と脳からの加工情報を統合させる。
Aγ求心性神経線維は1層と周回ゾーンに終枝し、分枝して5層に達している。
1層は後角の最も表層であり、痛覚と温度差を脳に伝える。
無髄のC線維は2層に達し、2層は膠様質に達し2、3の分枝を1層と5層に送っている。
これらの層には高および低閾値性の末梢性機械的受容器からの情報を受け取り処理するたくさんの機械的ニューロンが存在する。

脊髄の神経伝達
AγとC線維の後角への入力はグルタミンを放出させ、そのグルタミン酸はAMPA、カイニン酸、NMDAリガンド開閉性ナトリウムおよびカルシウムチャネルに選択的に結合する。
正常な状態では、NMDAはマグネシウムイオンでブロックされている。
AMPAの活性化は膜を脱分極させはやいEPSPを生じさせ、その結果局所の下降性抑制性ニューロンが興奮し、多くのニューロンが抑制性アミノ酸のグリシンやGABAを放出させる。
主としてAγ線維で伝達されるすばやい興奮は侵害刺激の発生、時間、位置を信号として伝える。
局在の明らかな比較的鋭い刺すような痛みの原因となっているが、その痛みは動物に警告し更なる組織ダメージから保護する。
強い熱あるいは機械的刺激は求心性感覚終末からのグルタミン、サブスタンスPの放出を増加させ、その結果後シナプスのニューロキニンと代謝性のグルタミンレセプターを活性化させ、細胞内カルシウムイオンの放出を強めたり持続させたりしてプラトー電位を形成する。
これらの事象の程度の大きさは刺激の強度に比例し、NMDAレセプターをブロックするマグネシウムイオンの除外とそのあとのより大きくて長い(10秒以上持続するような)後シナプスの脱分極反応を生み出す原因となっている。
そういったところでは刺激が取り除かれた後でも痛みは持続する。


投射と知覚
体性の知覚情報は投射され、脳幹の網様の構造を形成している。そして、視床に集束する前に多数の平行回路(例えば脊髄視床、脊髄細網、脊髄中脳、そして後シナプスの背側柱路)によって核を取り囲んでいる。脳へ侵害刺激を伝達しているこれらの神経管の相対的に重要なことは、動物種の間でかなり様々であるということである。興奮の活性は様々な前、後シナプスのオピオイド(μ、δ)、ノルアドレナリン(α-1,α-2)そしてムスカリン受容体によって変化を受ける。延髄吻側、腹側部は、上行性の侵害受容の情報の統合と処理と、脳からの下行性出力の調節に重要な領域である。この領域は興奮性と抑制性の細胞が含まれている。これらはお互いに侵害反射や侵害反応性の行動を促進あるいは抑制する。視床は情報を統合し、体性感覚皮質へ伝達する。そしてそれは辺縁系を含む近接した大脳皮質に連合野に投影される。その辺縁機能は帯状回(行動と情動に関係のある)、扁桃(恐怖や不安状態)、海馬(記憶)、視床下部(交感神経活性)、青斑核(覚醒、警戒、行動)、そして中脳水道周囲灰白質の一部(闘争と逃走の反応、ストレス性の痛覚過敏)を含んでいる。中脳水道周囲灰白質から投射されている神経は侵害刺激に導かれ、後侵害受容、自律神経の多くを制御している。


3. Peripheral Sensitization 末梢性感作
組織の損傷と炎症により感受性が増大し、侵害刺激に対する過敏な反応(痛覚過敏)や、痛みを引き起こすのに必要な刺激が低下する。例えば通常では痛みを起こさないであろう刺激(アロデニア)。この末梢の刺激は傷害部分での損傷組織の内容物が細胞外環境へ放出され、好中球、肥満細胞、単球、リンパ球を含む炎症細胞からの感作物質の蓄積と放出によって起こる。末梢性感作は後神経節遠心性交感神経の活性化の増加によって強められるかもしれない。損傷および炎症を起こした組織はH+、K+、ATPを放出し、プロテアーゼ(トロンビン、トリプシン)やシクロオキシゲナーゼ(COX2)やNO合成酵素(NOS)を含む酵素を誘導する。炎症細胞は広範囲の多様な化学伝達物質を放出する。これには以下のものが含まれるが全てではない。セロトニン、ヒスタミン、ブラジキニン、プロスタグランジン(PGE2)サイトカイン(インターロイキン、[IL]-1、IL-6、腫瘍壊死因子[TNF]-α)、増殖因子(NGF、白血病抑制因子)。プロスタグランジンはサイトカインや増殖因子やその他の炎症細胞によるアラキドンサンカスケードの活性化と、COX2アップレギュレーション(正の調節)によって生成される。プロスタグランジンE2は一次の求心性ニューロンをブラジキニンや他のメディエーターに対して感作させ、プロテインキナーゼ(PK)Aを活性化することによりTTX非感受性のナトリウムチャネルの活性閾値を下げる。これらの神経刺激性や炎症性物質は感作性スープまたはカクテルを形成し、感覚神経終末を活性化するかもしれないが、より重要なことには、機械的、熱的、化学的刺激に対する高閾値性侵害受容器を共同して感作させる。(すなわち興奮の閾値を下げる) (Fig.3)組織の損傷やダメージもまたいわゆる静かな(silent)あるいは休んでいる(sleeping)侵害受容器の活性化に寄与する。関節炎症部位でのsilent侵害受容器の活性化は機械的過敏反応や正常な関節運動に対する疼痛を起こす。炎症(IL-1、TNF-αの放出)や、神経傷害もまたNGFの生成を増加させる。NGFはイオンチャネルや受容体や神経ペプチドの発現を調節することによって全体的な影響を及ぼす。プロテアーゼ、サブスタンスP、CGRPは炎症性の平滑筋や内皮細胞に作用し、血管弛緩や毛細血管からの血漿や蛋白の漏出を引き起こす。さらには炎症反応を増加させ、原発の損傷組織に隣接した部位のAδ、C感覚神経繊維の侵害受容器の過敏反応を限局的ではあるが広がるのに貢献している。


4. Central Sensitization 中枢性感作
機械的な過敏反応と二次的な痛覚過敏は強烈で持続的な組織、神経の痛みという特徴を持っていて、それは高閾値性の末梢性の侵害受容器の伝達効率の変化によっては説明できない。一時的な痛覚過敏の外の領域(例えば、二次性の痛覚過敏の領域)は侵害受容器における知覚伝導の変化が見つかりにくいからである。脊髄後角の興奮の増加は、侵害受容器からの入力を増大させ、通常なら反応しないAβ繊維からの反応を示すようになる(アロデニア)。求心性神経のC繊維によって脊髄後角の侵害受容特異的あるいは非特異的(広範囲活動的)神経活動依存的発火は結果として後角ニューロンのシナプス入力における時間的加重と脱
分極の蓄積(windupとして知られている)を引き起こす。windupはNMDAレセプターを阻害しているMgを取り除くことを明示していて、グルタミン酸塩による活性をしやすくしている。グルタミン酸塩、サブスタンスP、脳由来神経性因子(BDNF)は膜結合レセプター(NMDA、mGluR、NK、TrKBなど)を活性化することで、中枢性感作の誘導に重要な役割をはたす。細胞内Ca濃度を増加させ、細胞内分子伝達カスケード(PKC,PKA、NOS,カルシウム-カルモジュリン依存性キナーゼ)を活性化し、さらにはレセプターの機能と細胞表面のレセプター発現を促進する。PKCのγisoformの活性化は膜レセプターとイオンチャネルのリン酸化を含む翻訳後の変化を誘発する。そのことで最初の刺激の数10分後は神経興奮が増加し、低閾値性の刺激に反応するようになり、脊髄侵害性神経の過剰興奮が短から長期間の後活性へ移行することに貢献している。ウイルスや細菌、AδとC繊維の神経伝達物質(サブスタンスP、BDNF)、局所のNOとプロスタグランジン濃度の増加による脊髄のグリア細胞(ミクログリア、アストロサイト)の活性化は過敏反応と前シナプスの痛み伝達神経からのサブスタンスPと興奮性アミノ酸の多量の放出を引き起こす。興奮性の増強は脊髄神経における抑制と連携して中枢性感作を構成する(Fig.4)中枢性感作は反応領域(受容野)を増加させ、過敏症とアロデニアを引き起こし、熱的、機械的、化学的刺激に特徴付けられる組織反応を変化させる。末梢と中枢の感作の違いは、末梢感作は感作させたAδとC繊維侵害受容器を活性化することで低閾値の刺激で痛みを誘発するが、中枢感作は低閾値のAβ感覚繊維が脊髄神経の興奮性を増加させ、脊髄の感覚処理を変化させることによって痛みを誘導する。中枢感作は現在損傷後の痛覚過敏の一番の原因として認識され、低閾値Aβ機械的受容器が通常は無害な知覚(接触、振動、運動圧)を生じさせるだけなのに、疼痛を生み出すことの説明になっている。


5.Disinhibition 脱抑制
末梢感覚神経線維から生じた神経インパルスが脊髄後角に到達すると、それらは興奮性と抑制性の影響によって調節される。MelzackとWallは後角の抑制性介在ニューロンが侵害感覚情報の中枢経路のゲートとして作動することを最初に提唱した。後の研究で有髄と無髄の末梢神経そして脳からの後角への入力は抑制性介在ニューロンを活性化し、神経インパルスと脳への投射に対して一時的と段階的両方の抑制効果を示す。一時的または持続的で段階的な抑制性活性はGABAとグリシンがGABAa,GABAb受容体に作用することによって仲介される。両方の受容体の阻害は中枢性感作と同様の痛覚(eg痛覚過敏、アロデニア)を引き起こす。このことは、下行性抑制性活性を抑制または除去(脱抑制)すると、低閾値性の古い入力に対する後角ニューロンの反応性が変化するかもしれない、ということを提示している。特に末梢神経傷害は内因性のオピオイド拮抗約コレシストキニン(CCK)の発現の増加と、とそれに対応するCCKb受容体の増加に関与している。両方の反応は内因性オピオイドの放出によって引き起こさた保護(鎮痛)の抑制を引き起こすかもしれない。そして神経因性疼痛におけるオピオイドの効率低下に寄与するかもしれない。急性と慢性の疼痛に対する脱抑制の寄与は十分に明らかにされてはいないが、末梢神経傷害によって起こる疼痛では、Aβ線維によるC繊維活性化の抑制の減弱がみられるが脱抑制は重要であることが知られている。


6. Modification 修飾
炎症または神経傷害刺激後の感覚神経あるいは脊髄のグリア細胞で作られるシグナル分子の増加あるいは減少は神経の表現型の変化の原因である。表現型のスイッチはNGFまたはグリア細胞由来の神経栄養因子の増加あるいは低閾値性のAβ線維の化学発現を変化させるグリア細胞由来の前炎症性サイトカインの生成によって誘発される。NGFの増加は神経の感作や転写誘導性の神経機能の変調と修飾に関わる細胞内シグナル分子の活性化に重要である。NGFの末梢作用をブロックすることは炎症によって起きた痛覚過敏の多くを抑制する。神経活動依存性の細胞内カルシウム、PKA、PKC濃度の増加は細胞外シグナル調節性キナーゼ、ストレス活性化PK(c-Jun、N-ターミナルキナーゼ)、pk38を含むMAPKファミリーを活性化する。MAPKは膜レセプターの機能を変調、修飾し、脊髄ニューロンの興奮性を効率的に増加させ、さらに中枢性感作の発生を促進する。PKC、PKA、CaMK、MAPKの活性化は転写因子であるcAMP応答配列結合蛋白(CREB)をリン酸化する。後根神経節や後角ニューロンでの疼痛関連遺伝子の転写の調節や発現に関係すると示されている。CREBの活性化は傷害後の長期間の痛覚過敏反応に寄与すると知られている。炎症のような末梢神経の傷害は表現型のシフトを誘発し、結果としてAβ線維の中枢終末内でのサブスタンスP、BDNFの発現の増加を引き起こす。しかし、炎症とは異なる抹消神経傷害は末梢神経でのSNS/PN3、VR1、CGRP、サブスタンスPの減少を引き起こす。神経傷害は傷害した神経の異所性の活性化を仲介する脳の第3ナトリウムチャネルを増加させ、μオピオイド受容体を減少させ、神経因性の疼痛の治療におけるオピオイドの効力を減弱させる。神経傷害ではまた脊髄後角での感覚神経(特にC線維)が遅れて消失し、一旦はC線維によって占められていた後角部位に終末部位を持つ低閾値性の有髄Aβ入力線維の発芽が起こる。これらの変化は後角での中枢性抑制機構の消失とともに感覚神経の機能プロフィールの変化と慢性の難治性の疼痛症候群の発生を促進する。


7.Implications for the Development of New Analgesic Therapies
神経末梢とCNSレセプターの発見、細胞内シグナル伝達カスケードの同定、痛覚伝達処理に関するメカニズムの解明などの重要な進歩は新しい鎮痛治療を推進していくだろう。(表1)この総説は非ステロイド系抗炎症薬(炎症のため)、オピオイド、α‐2作動薬(興奮、抑制化した神経活性のため)、局所の麻酔薬(神経活動の抑圧のため)を含む神経鎮痛薬の投与や、現在使われている様々な方法の合理性を与えることを意図している。例えば、TTXrNaチャネル(SNS/PN3、SNS/NaN)の発現とこれらのC線維に特異的に働いているという発見は、特にこれらのチャネルをブロックするようデザインされた薬物は、正常の触覚に影響を与えずに痛覚を緩和する。さらに、特異的な痛覚を仲介する、あるいは増強するレセプター、チャネル、増殖因子、酵素、転写因子、遺伝子の同定はそれらの作用を修飾し、そのため鎮痛作用を持つような製品の開発に大きな意味を持つ。末梢性感作の原因となるメカニズムの解明は侵害受容器の活性化を弱める薬や薬の組み合わせ(例えば局所麻酔薬や抗痙攣薬)や炎症性反応を抑圧する治療(例えば非ステロイド性抗炎症薬[NSAID]や寒冷療法)の発達と管理を促進する。脊髄と炎症組織でのオピオイド、α-2、プロスタグランジンのレセプターの発見は、疼痛の治療のためのオピオイド(ex.モルヒネ)、α-2作動薬(メデトミジン)、NSAID(ketororaku),コルチコステロイド(トリアムノシノロン)に賛同して、硬膜外、関節内、病変内への投与をしむける証左となる。中枢性感作の予防には疼痛の前かその直後に鎮痛薬の投与を行うことである。あらかじめ鎮痛処置を行うことは手術患者の麻酔薬の必要量を減らすことに加え、疼痛を抑えるのに必要なトータルの鎮痛薬の量を減らす。脱抑制の結果は脊髄抑制メカニズムを促進する薬(ex.α-2作動薬、硬膜外のモルヒネ投与)の投与によって調節できるかもしれない。」
単一の薬による鎮痛治療(ex.麻酔薬、NSAID,グルココルチコステロイド、オピオイド)はほぼ100パーセント無効である。なぜなら、多くの知覚と中枢のメカニズムは痛みの変調と拡大を含んでいるからである。この意見は人と動物において、炎症性、神経性、ガンの疼痛が異なる作用の働きで起こる薬の組み合わせによって治療される、ということを確認する外科的経験によって立証されている。異なった疼痛の成立には異なる治療法が必要であり、ある場合の疼痛ではすべての治療が無効である。持続する特殊な疼痛に対する神経化学的な差異は、鎮痛剤の違いによる効果に影響すると考えられている。例えばモルヒネは人において比較的、炎症性疼痛には効果があるが神経因性疼痛にはあまり効果がない。一方、三環系抗うつ薬(イミプラミン、アミトリフィリン)やいくつかの新しい抗けいれん薬(ギャバペンチン、カルバマゼピン)は人において炎症性よりも神経因性の疼痛によく効く。いくつかの研究により骨ガンによりもたらされる神経科学的変化は、炎症や神経損傷によるものとは際立って異なり、ビス二リン酸炎(アレンドロ酸炎、クロドロネートアミドロン酸)が効果的な鎮痛をもたらすと示唆している。さらにこれらの研究は、外科的疼痛(炎症性や神経因性の疼痛)の治療法は発達しうるし、通常の侵害受容器の疼痛に干渉しない。このため後者の効果を保護しながら、前者に関わる疼痛の耐過を取り除く。初期の又は先制的な多くの方法や仕組みに基づくは、コントロールできない疼痛の生理的、表現型の、行動的結果と、神経記憶性疼痛を妨げるように働く。


Conclusion 結論
C-ファイバーの入力(活性化)と関連する即座(1秒未満)の反射と侵害応答、興奮性(ワインドアップ)の急速(秒)で進歩的な変化、末梢および中枢の感受性(時間)の発達、そして、増強されたシステム(数時間後の)を定義している細胞内シグナル分子と遺伝子発現と脱抑制とAβ仲介性の疼痛における活性化依存性の変化は、感覚刺激による神経系の活性化、変調、修飾の原因となる。
これらの出来事の原因である無数の化学メディエーターと生化学のカスケードは新しい鎮痛のメカニズムベースの療法の開発のための豊富な根拠を与える。
この目標を達するために、臨床的に有効とされたメカニズムを基礎とした診断テクニックと、疼痛の採点システム、グローバルな結果の測定が必要である。
動物の痛みを分類するための現在の方法は、人間に使用されるものと同じ原則によって導かれ、原因(外傷、関節炎、または膵炎など)、発生元(表在性か、内臓性か、深在性か)、解剖学(体細胞性または、内臓性)、ボディーシステム(神経学、筋骨格、消化器系)、持続時間(一時的か急性か慢性か)、および強さ(軽度か中等度か重度かなど)に基づいている。
疼痛の原因となる病気の過程を特定するのを助けることに不可欠であって、患者が広い侵害性、炎症性、神経因性疼痛カテゴリに配置されるのに重要ですが、これらの計画は、痛みに原因となるメカニズムを特定しないで、またしたがって、最も有益な療法を示しません。
将来のメカニズムベースの疼痛診断と分類システムは、生理学的な痛みによって提供された保護的な役割を妨げないでこの臨床的に重要な問題を克服して、臨床的に疼痛をを和らげる療法を示すのを助けるだろう。
動物の痛みを評価するための行動ベースのテクニックの重要を十分に強調するべきである。
古いものと新しいものの鎮痛剤の療法の効力を評価する将来の臨床試験は、関する品質、ローカライズ、タイミング、疼痛の強さおよび、これらの不定のものの異なった痛みメカニズムへの反映の仕方を決定するために系統的で、識別力のある、客観的な方法を使用しなければならない。
臨床的疼痛を伴う獣医の患者において臨床的に関連しているプラシーボを対照とした薬物動態学的な薬力学的な試験を統計的に確認された結果測定を使用して行わなければならない。
最終的に、自然に起こっている病気の動物に起こる様々なタイプの疼痛の罹患率と発生率に関するデータは、痛みによって療法の今後の臨床的、そして、実験的な試験を導くために集められて、分析されるべきである。


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